MoCoLy(モッコリー)
2010/12/24
@lyouta_koduka です。はじめまして。
DigitalFrontierでは群集キャラクタ(モブキャラ)回りのパイプライン開発をしたり、 アニメーター用のスクリプトやプラグインなどを作ったりしてます。今日は群集キャラクタを簡単に作り出すインハウスツール「MoCoLy」の紹介をします。
MoCoLyは個別に登録された服や髪型といったパーツをMaya上選び、その組合せによって数多くのバリエーションのキャラクタを作ることができるツールです。まぁオンラインゲームの3Dアバター作成ツールみたいなものです。
もともと、モブキャラクタが大量に必要なプロジェジェクトでは毎回キャラクタを作る作業を行っていましたが、この方法では画面を埋め尽くすほどのバリエーション豊かなモブキャラを用意することはできませんでした。
そのため、「パーツの登録→組み上げ→キャラクタ登録」という一連の行程を自動化し、パーツの組合せの違いによって短時間に大量のモブキャラを用意できるシステムを作ることになりました。
MoCoLyを使うことで、ユーザーはキャラクタの特徴のみを指定し、 余計なMaya上の作業をすることなくキャラクタを作ることができます。
キャラクタを作る様子をまとめた映像を作ったので見てみてください。 早送りのダイジェスト版ですがツールの雰囲気がわかると思います。
モブキャラ制作の様子
MoCoLyの良いところはパーツやキャラクタにタグ付けを行うことができる点です。
パーツ同士の関係性(例えば色違いなど)や、キャラクタがどのパーツで作られているかなどが定義でき、 MoCoLyより後のパイプラインで属性を持ったキャラクタを利用することができます。
また、関連性のあるパーツやキャラクタは情報を共有することができるため、 1つのパーツを更新することで関連したモデルの情報も更新することができます。
しかも、新しいパーツのクオリティをあげて登録を行えば、キャラクタのクオリティもアップできるようになってます。 お買い得ですね。もうツールの更新もしなくていいですね。
作られたキャラクタをまとめてみました。 大量のモブキャラが出てくるシーンでは図のようにバリエーションのある群集が作られると思います。
大量のモブキャラ
ところで苦労話ですが、MoCoLyの開発は1年くらい前からひっそりと行われていました。
最初のバージョンはMaya2010に対応したもので、フロントエンドはPyQtライブラリを使っています。 知ってる人もいると思いますがMaya2010とPyQtの相性は最悪です。
MayaとMoCoLyの両方がスレッド処理を行いながら同期するため、 動作が不安定になりやすく何の前触れもなくMayaが落ちたりしました。 なんかバットノウハウばかり溜まっていって、シンプルにPyQtを使う方法がないのかな~っと悩む日々でした。
しかし、最近ではMaya2011がPyQtをサポートしてくれたおかげで、つらい日々も解消しつつあります。
まだ油断はできませんがMELのGUIに依存することなく自由にツールが作れる日も近いと思います。 しかも新しいQtが前のバージョンよりも処理速度が速くなってたおかげで、MoCoLy自体もパワーアップです。
ちなみにMoCoLyという名前の由来ですが、ツールを開発中にTwitter上で名前の募集を行ったところいくつか候補が上がり、その中から選んだ形になります。
意味的には「mob.co.jp」から「bit.ly」+「del.icio.us」+「作者の名前(lyouta)」的ニュアンスを取り入れ「mo.co.ly」へと変 わりました。
しかし「.」はプログラム上で使う上で色々問題があったので、大文字と小文字の組合せに変更し発音もマッコリーからいただいて「モッコリー」となりました。
[…] 今回の記事はMoCoLy(モッコリー)を継承したGUI中心のMOBキャラ作成インハウスツールMuzzuri(ムッツリ)について紹介したいと思います。 […]
Posted at 2012.05.29 15:04 by デジタル・フロンティア-Digital Frontier | DF TALK | Muzzuri